黒酢と香酢の違いってよくわからない

間違えている方が多いと思いますが、黒酢と香酢は似ているようで、全く別のものです。色は同じような色をしていますが、黒酢と香酢とでは、作り方が異なっているのです。先ほど、黒酢は玄米から作っていると書きましたが、香酢も原料は玄米です。

ただし、黒酢はぬかがついた状態で使用するのに対し、香酢はぬかを取り除いた玄米を最初に使用するんですね。更に、米は米でも、香酢はもち米を使用しているのです。よく洗浄したもち米を蒸すことから、香酢がスタートするのです。蒸したもち米は、口の広いカメに入れられるのですが、これも、黒酢を壺に入れるのと似ていますよね?

しかし香酢の場合は、すり鉢状にもち米を敷き詰めていくのです。そして麹を加えて発酵させていくと、すり鉢状の底にお酒ができます。黒酢の場合は、玄米だけでなく、水も一緒に壺へ入れますが、香酢では水は使用しません。もち米や麹を発酵させることによって、自然にお酒が出るのを待つ必要があるのです。

もちろん、その分、黒酢以上に時間がかかってしまいますが、その時間こそが香酢を美味しく仕上げるものなのです。お酒が出た後は、もみ殻を加え、職人の手によって混ぜ合わせます。もちろん手作業です。

しかも、ただ混ぜれば良いというわけではなく、発酵の進み具合を実際に目で確認しながら定期的に行うほか、壺への移し替えも行いますから、職人技というか、長年の経験や勘を必要としているのです。発酵の具合がちょうどよくなったら、次は、もみ殻と一緒に水に浸し、酢の成分をろ過させます。

そして、更に寝かせると、香酢特有の匂いと風味が生まれ、美味しい香酢が完成するんですね。

ちなみに、香酢を作る過程で出てきたお酒は、老酒の元となります。これらは、古くから行われている職人による手作業で作られる香酢の作り方です。ただ、やはりどうしても長い期間を要してしまいますから、黒酢と同様、香酢も工場での大量製造が進んでいるようです。この場合も、工場での大量製造もメリットはありますが、しかしやはり昔からの方法で作られた香酢は、味も匂いも違いますし、含まれている栄養価も高いですよ。

香酢とは

香酢というのは、中国の酢のことです。江蘇省の鎮江香酢、雲南省の禄豊香酢などが有名のようですが、中国で1番古くから生産されている酢というのは、山西省の山西老陳酢だといわれています。香酢は、日本で一般的に使われている酢とは異なり、長い年月を経て熟成して作られるのが特徴です。一応、日本でも黒酢という長期間の熟成を経てつくられる酢がありますが、香酢の方が含まれているアミノ酸の量がとても多いのです。熟成する期間によっては色も黒酢のように黒くなりますしね。山西省や雲南省でつくられている香酢のなかには、3年間熟成されたものや5年間熟成するものがある他、8年間熟成されたものまで存在します。熟成期間が長ければ長いほど、香酢の香と味はまろやかとなり、深いものとなりますので、8年間熟成された香酢が1番の最高級品だと言われています。

日本で一般的な酢も、積極的に摂取することで様々な健康効果・美容効果を得ることができますが、香酢はアミノ酸など栄養価が非常に高いため、より高い効果を期待することができます。香酢を摂取することで得られる効果には、血行改善・精力回復・糖尿病の予防・美肌効果・血圧の低下・ダイエット…などが挙げられます。

血行改善というのは、香酢は長い期間に渡って熟成することで形成される、褐色の色素成分のメラノイジンが血行改善と深く関わっているためです。メラノイジンというのは、短時間で還元糖とアミノ酸化合物(アミノ酸・ペプチド・タンパク質)を加熱した際に起こるメイラード反応によって生成されるのですが、香酢や味噌などの場合は、常温であれば長期間熟成することでも生成されます。メラノイジンには赤血球変形能改善作用という働きがあり、毛細血管のなかであっても赤血球を簡単に変形させてしまうことができるんですね。そしてその変形によって血行を改善することが可能となるのです。香酢はアミノ酸を非常に多く含んでいますが、アミノ酸のなかのヒスチジンは、血管を柔らかくする働きがあるため、香酢を摂取することで細い毛細血管の中であっても血液の移動がスムーズにできるようになり、結果、血流改善の効果を期待できるんですね。また、香酢に含まれているアルギニンが一酸化窒素を生成するため、血管を広げ、血流を良くする効果も得ることができます。更に香酢は酢酸を含んでおり、高血圧の方の血管内にその酢酸が入り込むと、エネルギーとして使用されてアデノシンを生成します。アデノシンは血管の壁に張り付き、血管を拡張する働きがあるため、ここでもまた血流を促すことに繋がるんですね。これらの効果は、毎日スプーン1杯の香酢を摂取するだけで効果を得られるそうですので、これは是非とも続けたいものですよね。

精力回復にも、香酢に多く含まれているアミノ酸と深く関係しています。アミノ酸というのは、人間の筋肉・皮膚・毛髪…などを構成しているタンパク質で構成されているのですが、アミノ酸を積極的に摂取することで、筋肉の疲労回復・肝機能のアップ・集中力を高める…といった効果を期待することができます。例えば、アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンの3種類のアミノ酸からなりたつBCAAは、筋肉のタンパク質に多く含まれ知恵得るアミノ酸であり、身体のタンパク質の量を増やし、運動する際のエネルギーなどに利用されています。つまり、このBCAAを多く摂取することで、持久力を高めたり、疲労を軽減したり、早く疲労から回復したり…といった効果を得ることができるのです。また、アスパラガスにも含まれているアミノ酸のアスパラギン酸は、エネルギー源として非常に利用しやすいアミノ酸として知られており、栄養剤の成分にも利用されているほどです。グルタミン酸もエネルギー源として利用されやすいアミノ酸であり、運動した際の疲労回復を促す効果があります。人間の体内では、クエン酸サイクルというものがあります。クエン酸サイクルというのは、自動車でいうとエンジンのようなもので、このサイクルがあるからこそ、人間の身体の細胞1つ1つがエネルギーを生み出すことができるようになっているんですね。香酢には、クエン酸・リンゴ酸・コハク酸なども含まれているのですが、これらがクエン酸→イソクエン酸→アルファケトグルタル酸→コハク酸→CoAコハク酸→フマル酸→リンゴ酸→オキザロ酢酸→クエン酸…というサイクルでエネルギーが生産されるのです。それぞれのアミノ酸に身体に良い方向へ働きかける作用を持っているのですが、更にクエン酸サイクルによって体内の新陳代謝を高めたり、疲労回復を早めることが可能となるのです。また、人間の身体のなかというのは、本来はアルカリ性で保たれています。しかし何らかの原因によって一部の細胞が酸性に傾いてしまうことがあるんですね。そんな時にアミノ酸を摂取することで、酸性に傾いた体内をアルカリ性に戻すことができ、それによって再び細胞を活性化させることが可能となります。

糖尿病の予防というのは、香酢に含まれているアルギニンやヒスチジンのアミノ酸が血流を改善する効果があり、細胞の働く環境を整えることで、元々人間の身体が備えている自然治癒力の働きをサポートする作用があります。糖尿病というのは、インスリンと呼ばれるホルモンの作用が低下したため、体内で吸収した栄養素が上手に利用することができず、血液内のブドウ糖(血糖)が多くなってしまう症状を言います。インスリンは膵臓から分泌されるのですが、その分泌量が不足している状態…つまりインスリンが足りていないと糖尿病になりますし、また肥満などが原因でインスリンの効果が出づらい…つまり、インスリン量は十分にあっても血糖値を下げることができない状態でも糖尿病にもなります。この糖尿病と大きく関係している膵臓でも、血流を活性化したり、エネルギー燃焼を活性化させることで、血糖値を正常に保つ作用が働くと言われており、その作用を持つアミノ酸を香酢は含んでいるのです。香酢に含まれているアルギニン・ロイシン・ヒスチジンといったアミノ酸は、インスリンの分泌を促す働きを持っている他、アルギニンも肝臓や抹消組織のインスリン感受性を改善する働きがあるとし、香酢を積極的に摂取することで、糖尿病の予防や改善を期待することができるのです。例え少量の香酢の摂取であっても、毎日摂取し続けることで糖尿病に十分な効果を得ることができますよ。

美肌効果というのは、香酢には良好な血液の流れを促す効果があるためです。血行が促進されるということは、全身に良質な栄養素が巡るということですし、それはもちろん肌にも行き渡ります。美肌になるための作用は複数存在しますが、そのなかでも、血行促進というのは非常に重要な要素の1つではないでしょうか。香酢は、長期間熟成することで生成されるメラノイジンという黒い色素成分がありますが、このメラノイジンが血行改善に高い効果があります。更に、ヒスチジンというアミノ酸は血管を柔らかくし、アルギニンというアミノ酸は一酸化質素を生成しますので、血管を広げ、血流を良くすることが期待できるんですね。細い毛細血管であっても、難なく血液の移動ができるようになりますから、新鮮で良好な血液を肌の隅々まで行き渡らせることができ、それによって美肌作用を得ることができるのです。他にも、香酢に含まれているスレオニンはコラーゲンの材料となりますし、グリシンにも保湿作用・酸化防止作用があり、また、チロシン・トリプトファンはアンチエイジングホルモンと呼ばれる成長ホルモンと深い関わりも持っています。シスチンは、傷の治癒力を高め、シミの原因となるメラニン色素の沈着を防ぐことができますし、肌で紫外線を吸収してくれるヒスチジンも、香酢には含まれていますよ。

血圧の低下にも、先ほどから挙げている香酢が含んでいるアミノ酸のアルギニンが、一酸化窒素を作り出すことで血管を拡張させることで得られる血流改善と大きな関わりがあります。血管が広がり、血液が流れやすくなるわけですから、当然、血圧は低下していきますよね。また、香酢特有のあの色というのは、長期間熟成発酵させることで作られるメラノイジンという色素によるものなのですが、このメラノイジンは、香酢に含まれている炭水化物・アミノ酸・タンパク質と反応して作られます。これも先ほどから触れていますが、メラノイジンは赤血球変形能改善作用があるため、赤血球の形を変え、細い毛細血管にも簡単に赤血球を届けることが可能となり、血行を良くします。更に、香酢に含まれている酢酸は、高血圧の方の血管に入り込むと、細胞のエネルギーとして使用されてアデノシンを作り出し、それが血管の壁に付着して血管を拡張させることができるんですね。香酢が含んでいる複数のアミノ酸が相乗的に働くことで、血液の流れを改善し、その結果として血圧を下げる作用を得ることができるのです。

ダイエット効果というのは、香酢に含まれているクエン酸・リンゴ酸・コハク酸などの有機酸によるものです。この有機酸というのは、脂肪・炭水化物・タンパク質等、エネルギーの代謝に関して非常に重要なクエン酸サイクルの働きを促す作用があり、結果、体内の新陳代謝を高めることができますので、ダイエット効果を得ることができるんですね。ちなみにクエン酸サイクルは疲労回復を早める効果もあります。また、香酢に含まれている必須アミノ酸のヒスチジンが脳に運ばれるとヒスタミンへと変化するのですが、このヒスタミンが満腹中枢を刺激する作用があるため、過食…つまり食べ過ぎるのを防ぐ働きがあるのです。更にヒスタミンは、交換神経を刺激しますので、肝臓等で脂肪の代謝を活性化させることができます。ちなみに、このヒスタミンを脳内で増やすためには、香酢を摂取する以外にも、よく噛んで食べるようにする…というのも非常に効果的です。よく言いますよね?「咀嚼の回数を増やしている間にお腹がいっぱいになってくるのを待つ」と。これは、よく噛むことで脳内でヒスタミンが増えるということなのです。他にも、酢酸が肝臓での脂肪吸収を抑える効果があったり、カルニチンが脂肪分を細胞が燃焼する場所まで運んでくれる作用があったり、アラニン・アスパラギン酸がクエン酸サイクルに必要なオキサロ酢酸へ変換されることで、クエン酸サイクルがスムーズに行われて脂肪燃焼が促されたり…といった効果も得られますよ。

ただ、香酢を摂取することで、様々な効果を得られることは理解しつつも、副作用というか、香酢を摂取することで何らかの悪い症状が起こることはないのか…と心配している方もいらっしゃるかと思います。日本で一般的な酢と比較して、香酢は酸っぱさはそれほど強くありませんし、かなりまろやかではあります。しかし、刺激の弱いものではないので、毎日摂取することで何らかの不調を生じてしまうのでは?と思ってしまう方がいても仕方がないのかもしれません。結論からいうと、香酢を摂取したからといって副作用が生じることはありません。香酢は食品であって、もちろん医薬品ではありませんから、副作用がなくて当然なんですよね。ただ、香酢は強い酸性の食品である。体内で吸収されて弱アルカリ性になりますが、香酢そのものは酸性であり、非常に刺激の強いものとなっています。ですから、一度に香酢を大量に摂取すると、胃液を荒らしてしまう場合もありますので、その点は注意する必要があります。飲む量に気を付けるのはもちろんのこと、空腹時に香酢を摂取するのも避けてください。

また、香酢は、摂取の仕方によっては酸蝕歯の原因となってしまうことがあるため、それにも注意が必要です。酸蝕歯というのは、強い酸性の食品を日常的に摂取していると、歯の表面にあるエナメル質が酸に侵されてしまうことで一時的に柔らかくなり、歯のミネラル成分の一部が失われてしまう症状をいいます。この酸蝕歯が進行してしまうと、冷たい食品を食べた時に歯がしみてしまう知覚過敏や、虫歯のような痛みを生じることがあります。

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